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次亜塩素酸水は何ppmで使う?拭き掃除の手順と有効塩素濃度の目安

次亜塩素酸水を使ってみたが効果が感じられなかった、という声を聞くことがあります。その原因は製品よりも、使い方にあることが少なくありません。次亜塩素酸水は、どれくらいの濃度のものを、どう使うかで結果が変わります。本記事では、3省庁が連名で示した注意事項をもとに、拭き掃除の具体的な手順と有効塩素濃度の目安を整理します。

1. 「効果が感じられない」の多くは濃度と手順の問題

次亜塩素酸水は、有効塩素濃度、pH、接触時間、対象物の汚れ具合によって結果が変わります。逆に言えば、このどれかが欠けていると、同じ製品を使っていても結果は出ません。

とりわけ見落とされやすいのが、汚れの除去と使用量です。次亜塩素酸水は有機物によって分解されるため、汚れが残った上から吹きかけても、汚れとの反応で消費されてしまいます。また、表面に軽く吹きかけるだけでは、必要な接触時間を確保できません。NITEも利用時の注意として、汚れをあらかじめ除去すること、対象物に対して十分な量を使うことを示しています。

「効かなかった」と感じたときは、製品を替える前に、手順のどこが抜けていたかを確認してみてください。多くの場合、次に説明する4つの工程のいずれかが省略されています。

2. 拭き掃除の基本手順

2020年6月に厚生労働省、経済産業省、消費者庁の3省庁連名で、次亜塩素酸水を使って物のウイルス対策をする場合の注意事項が公表されています。国民生活センターの資料に整理されている内容によれば、拭き掃除に使う際の手順は次のとおりです。

工程やること省略したときに起きること
1. 汚れを落とす目に見える汚れをあらかじめ除去する汚れとの反応で消費され、効果が落ちる
2. ヒタヒタに濡らす対象物の表面を十分な量で濡らす接触が不十分で、必要な作用が得られない
3. 時間をおく少し(20秒以上)時間をおく接触時間が足りず、途中で拭き取ることになる
4. 拭き取るきれいな布やペーパーで拭き取る液や汚れが残り、対象物にも影響しうる

手順として難しいところはありません。ただ、実際の現場では「吹きかけてすぐ拭く」という使い方になりがちです。スプレーして即座に拭き取ってしまうと、2と3の工程が両方とも抜けることになります。ここが結果を分ける分岐点です。

3. 必要な有効塩素濃度の目安

同じ注意事項では、濃度の目安も示されています。拭き掃除に使用する際は、有効塩素濃度が80ppm以上の次亜塩素酸水を用いるとされています。さらに、元の汚れがひどい場合などには、有効塩素濃度が200ppm以上のものを使うこととされています。

希釈して使う製品の場合は、正しく希釈することが前提になります。また、濃度が高いものを使う場合には、直接手を触れずにゴム手袋等を着用することとされています。濃ければ濃いほどよいというものではなく、対象と作業内容に応じて使い分ける必要があります。

  • 通常の拭き掃除:有効塩素濃度80ppm以上
  • 元の汚れがひどい場合:有効塩素濃度200ppm以上
  • 希釈タイプの製品:表示に従って正しく希釈する
  • 高濃度のものを扱うとき:ゴム手袋等を着用し、直接手を触れない

ここで重要なのは、手元にあるものが何ppmなのかを把握しているかどうかです。表示を確認せずに使っている場合、80ppmという目安を満たしているかどうかも分かりません。まずは製品表示または生成機の仕様で、有効塩素濃度を確認してください。

4. 濃度は時間の経過とともに下がる

もう一つ押さえておきたいのが、有効塩素濃度は一定ではないという点です。国民生活センターが市販の次亜塩素酸水15銘柄を対象に行ったテストでは、製造時期が推測できた銘柄のうち多くで、製造日から測定までの期間が短い場合のほうが有効塩素濃度が高いという結果が出ています。

さらに同じテストでは、有効塩素濃度の表示があった14銘柄のうち8銘柄で、購入時期によっては測定値が表示の9割以下になる場合があり、中には2割以下のものもあったと報告されています。つまり、表示されている数値がそのまま手元の状態を表すとは限りません。

この性質は、運用の設計に直結します。買い置きして長期間かけて使い切る運用では、後半に使う分の濃度が当初より下がっている可能性があります。80ppm以上という目安を満たしているつもりでも、実際には下回っているかもしれません。開封後の保管方法、直射日光を避けること、使い切る期間を決めておくことが実務上の対策になります。

5. 人体への使用と空間噴霧はしない

使い方の話として、あわせて確認しておきたいことが2つあります。ひとつは人体への使用です。「次亜塩素酸水」として販売されている商品の多くは医薬部外品や化粧品ではなく、物の除菌を目的としたものです。これらを手指や口腔等、人体の消毒・殺菌に使用することはできません。厚生労働省も、手指に使う場合は品質、有効性、人体への安全性が確認された医薬品・医薬部外品を使うよう説明しています。

もうひとつは空間噴霧です。厚生労働省のページでは、人がいる環境に消毒・除菌効果をうたう商品を空間噴霧することは、眼や皮膚への付着、吸入による健康影響のおそれがあるため推奨されていないと説明されています。次亜塩素酸水についても、空間噴霧で付着ウイルスや浮遊ウイルスを除去できるかについて、国際的に評価方法は確立されていないとされています。加えて、消毒効果を有する濃度の次亜塩素酸水を吸い込むことは推奨できないとされています。

本記事で扱っている濃度と手順は、あくまで物の表面を拭き掃除する場合のものです。対象を取り違えないようにしてください。

6. 安定した濃度で使い続けるために

ここまでを整理すると、実務でやるべきことは3つに絞られます。使っているものの有効塩素濃度を把握すること、汚れを落としてから十分な量で濡らし時間をおいて拭き取ること、そして時間の経過による低下を前提に運用を組むことです。

3つ目については、買い置きの量を減らし、使う分を使うときに用意できる状態にするのが最も確実です。次亜塩素酸水生成機は、必要なときに必要な量をその場で作れること、そして生成される水の有効塩素濃度とpHが仕様として示されていることが実務上の利点になります。80ppm以上という目安を安定して満たしたい場合、都度生成できることは管理面で意味を持ちます。

ただし、生成機ごとに生成される水の種類、有効塩素濃度、pH、必要な原料、メンテナンス方法は異なります。使いたい用途に必要な濃度が出せるかどうかを、仕様で確認してください。どの場所で何にどれくらい使うのかをお伝えいただければ、用途に合うかをご案内できます。お問い合わせフォームから承ります。

よくある誤解と正しい確認方法

使い方をめぐるよくある誤解は、「スプレーしてすぐ拭けばよい」「薄くても回数を増やせば同じ」「においが強ければ濃い」といった理解です。すぐ拭き取ると接触時間が確保できませんし、回数と濃度は交換できるものではありません。においの強さも、有効塩素濃度を正確に表す指標にはなりません。

確認の手順としては、まず製品表示または生成機の仕様で有効塩素濃度を確認します。次に、その数値が「製造時」「充填時」のものかどうかを見ます。国民生活センターのテストでは、15銘柄中10銘柄で表示が製造時や充填時のものである旨の記載がありました。製造時の数値であれば、手元にある時点ではそれより低い可能性があります。最後に、使用する対象と汚れの程度から、80ppm以上か200ppm以上かを判断してください。

導入検討時の実務チェック

  • 手元にあるものの有効塩素濃度を、表示または仕様で確認する
  • その表示が「製造時」「充填時」の数値かどうかを確認する
  • 汚れを落とす→濡らす→20秒以上おく→拭き取る、の手順を書き出して共有する
  • 使い切る期間を決め、直射日光を避けて保管する
  • 人体への使用と空間噴霧を行わないことを周知する
  • 必要な濃度を安定して用意できているか、運用を定期的に見直す

共通注記

本記事は、次亜塩素酸水に関する公的機関の情報、公開資料、学術情報をもとに、衛生管理・除菌用途に関する一般情報として作成しています。特定の疾病の予防・治療、医療効果、人体への安全性を保証するものではありません。使用の際は、製品表示、濃度、pH、使用方法、対象物、各公的機関の最新情報をご確認ください。

参考情報

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