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在宅介護の衛生管理|高齢のご家族がいる家庭で次亜塩素酸水を使うときの注意点

在宅で介護をしていると、感染症への不安と、居室やポータブルトイレまわりのニオイという二つの課題に同時に向き合うことになります。刺激の少ない方法を探すなかで次亜塩素酸水にたどり着く方もいますが、場面によっては別の薬剤が推奨されることもあります。本記事では、公的なマニュアルが示す基本を整理したうえで、次亜塩素酸水が使える場面と使うべきでない場面を解説します。

1. 高齢者の感染対策は季節を問わない

感染症対策は冬の話題として扱われがちですが、高齢者の場合は季節を問わず注意が必要です。厚生労働省の高齢者介護施設における感染対策マニュアルでも、感染症への抵抗力が低下しやすいこと、複数の人が同じ空間で生活することによる集団感染のリスクが整理されています。夏場は食中毒や脱水と重なる時期でもあり、油断できません。

在宅介護では、介護する家族自身が感染源にも感染者にもなり得ます。手洗いと環境整備という基本を、無理なく続けられる形で回すことが最も重要です。

2. 基本は手洗いと環境整備

公的なマニュアルや手引きで一貫して中心に置かれているのは、手洗いと、手指が頻繁に触れる場所の清掃です。特別な薬剤より先に、この二つが機能しているかを確認してください。除菌剤は、この基本の代わりではなく、清掃の後に位置づけられるものです。

  • ケアの前後、排泄介助の後、食事の準備前には流水と石けんで手を洗う
  • 手すり、ドアノブ、ベッド柵、スイッチなど、手が頻繁に触れる場所を定期的に清掃する
  • 居室の換気を1日数回行う
  • 寝具・衣類は汚れたら速やかに洗濯し、しっかり乾かす
  • 介護する側の体調不良時は、可能な範囲で接触を減らし、マスクを着用する

3. 環境表面の清拭に次亜塩素酸水を使う場合

次亜塩素酸水は、次亜塩素酸を主成分とする酸性の水溶液で、食品添加物(殺菌料)として成分規格が定められています。物品や環境表面の衛生管理を補助する用途で検討されることがありますが、効果は有効塩素濃度、pH、接触時間、汚れの量によって変わります。NITEも、汚れ(有機物)をあらかじめ除去すること、対象物に対して十分な量を使うことを注意点として示しています。

在宅介護の環境では汚れが付着しやすい場所が多いため、「まず汚れを落とす」という順序を守ることが特に重要です。汚れの上から吹きかけるだけでは、期待した結果になりにくいと考えてください。

対象基本の手入れ次亜塩素酸水を使う場合の注意
手すり・ベッド柵・スイッチ汚れを拭き取ってから清掃する金属部分の変色・腐食の可能性を事前に確認する
ポータブルトイレ排泄物を処理し、洗浄してから乾かす汚れの除去が前提。使用後は十分に乾かす
床・テーブル洗剤で汚れを落とし、水拭きする素材への影響を目立たない部分で確認する
食器・調理器具洗剤で洗い、しっかりすすぐ口に入る場所のため、使用後のすすぎと乾燥を必ず行う
手指・皮膚流水と石けんによる手洗いが基本人体への使用は行わない(医薬品・医薬部外品を使う)

4. 嘔吐物・下痢便の処理は別の薬剤が基本

在宅介護でぜひ区別しておきたいのが、嘔吐物や下痢便の処理です。ノロウイルスなど一部の病原体に対しては、公的なマニュアルで次亜塩素酸ナトリウムを用いた処理方法が示されています。この場面では、次亜塩素酸水で代用するという判断はせず、マニュアルに沿った方法を用いてください。

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは名称が似ていますが、別のものです。厚生労働省も、次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めただけでは次亜塩素酸水にはならないと説明しています。用途によって使い分けるべきものであり、どちらか一方があればすべて足りるという関係ではありません。

5. 人体への使用と空間噴霧は行わない

肌が薄く敏感になりやすい高齢者に対して、刺激の少ない選択肢を探したくなる場面はありますが、手指など人体への使用については、厚生労働省は品質、有効性、人体への安全性が確認された医薬品・医薬部外品を使うよう説明しています。次亜塩素酸水を手指消毒の代わりに使うという判断は避けてください。

また、居室の空間に噴霧する使い方も推奨されていません。厚生労働省のページでは、人がいる環境に消毒・除菌効果をうたう商品を空間噴霧することは、眼や皮膚への付着、吸入による健康影響のおそれがあるため推奨されていないと説明されています。呼吸器の機能が低下している方が生活する空間では、特に避けるべき使い方です。ニオイ対策は、換気、汚れの除去、洗濯という物理的な方法を軸に組み立ててください。

6. ニオイの悩みへの現実的な対処

在宅介護でのニオイの多くは、排泄に関わるもの、寝具や衣類に染み込んだもの、居室にこもった空気に分けられます。原因ごとに対処法が違うため、まとめて一つの製品で解決しようとすると行き詰まります。

  • 排泄関連:処理を速やかに行い、容器は洗浄・乾燥させる。使用済みのものは密閉して処分する
  • 寝具・衣類:汚れたら早めに洗濯し、乾燥まで確実に行う。予備を用意して交換頻度を上げる
  • 居室の空気:時間を決めて換気する。エアコンのフィルター清掃も定期的に行う
  • 床・家具:汚れが染み込む前に拭き取る。防水シートなどで汚れる面を減らす

7. 毎日の使用量から考える生成機という選択肢

在宅介護の衛生管理は、毎日、複数の場所で、長期間続きます。手すりやベッドまわりの清拭、ポータブルトイレの手入れ、居室の清掃と対象が広く、量を気にせず十分に使おうとすると消費量はまとまった量になります。介護する側の負担を考えると、買い足しや在庫管理の手間も無視できません。

次亜塩素酸水生成機は、必要なときに必要な量を現場で作れる点が実務上の利点です。次亜塩素酸水は保存状態や時間の経過によって性質が変わる可能性があるため、都度生成できることは管理面でも意味があります。ただし、生成機ごとに生成される水の種類、有効塩素濃度、pH、必要な原料、メンテナンス方法は異なります。どの場所で、何に、どの頻度で使うのかを整理してから、仕様が用途に合うかを確認してください。

8. まとめ

在宅介護の衛生管理の中心は、手洗い、環境の清掃、換気という基本の継続です。次亜塩素酸水は、汚れを落としたうえでの環境表面の衛生管理を補助する手段として位置づけ、人体への使用や空間噴霧は行わないでください。嘔吐物・下痢便の処理については、公的マニュアルが示す方法に従い、次亜塩素酸ナトリウムなど適切な薬剤を用います。判断に迷う点は、担当のケアマネジャーや訪問看護師、かかりつけ医に相談してください。次亜塩素酸水生成機の導入や使用方法について詳しく知りたい方は、お問い合わせください。

よくある誤解と正しい確認方法

介護の場面でよくある誤解は、「刺激が少ないと聞いたので手指消毒に使える」「これ一つあれば嘔吐物の処理までできる」「空間に噴霧しておけば部屋全体の対策になる」といった理解です。いずれも用途の取り違えであり、それぞれ別の方法が示されています。食品添加物としての指定は食品衛生上の制度情報であって、人体への使用や医療効果を示すものではありません。

確認の手順としては、まず対象を「手指・皮膚」「嘔吐物・排泄物の処理」「環境表面」「食器類」に分けます。手指は医薬品・医薬部外品、嘔吐物等の処理は公的マニュアルの方法、環境表面は清掃を前提とした衛生管理、食器類は洗浄とすすぎが基本です。そのうえで、製品や生成機の仕様に記載された有効塩素濃度とpHが用途に合うかを確認してください。

導入検討時の実務チェック

  • 使用対象を「環境表面」「排泄関連の物品」「食器類」に分け、手指と嘔吐物処理は別扱いにする
  • 製品または生成水の有効塩素濃度とpHを確認し、記録しておく
  • 清掃→使用→乾燥までの手順を、家族や訪問スタッフ間で共通のルールにする
  • 1週間あたりの使用量を把握し、購入と生成のどちらが運用に合うか比較する
  • 嘔吐物・下痢便の処理手順と必要な薬剤を、別途あらかじめ用意しておく

共通注記

本記事は、次亜塩素酸水に関する公的機関の情報、公開資料、学術情報をもとに、衛生管理・除菌用途に関する一般情報として作成しています。特定の疾病の予防・治療、医療効果、人体への安全性を保証するものではありません。使用の際は、製品表示、濃度、pH、使用方法、対象物、各公的機関の最新情報をご確認ください。

参考情報

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