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「まず汚れを落とす」をどうやるか。アルカリ性電解水という選択肢

当ブログでは繰り返し「まず汚れを落としてから使う」とお伝えしてきました。ただ、その汚れをどう落とすかについては触れてきませんでした。実は、次亜塩素酸水を電気分解で作るとき、同時に反対の性質を持つ水が生まれます。本記事では、洗浄を担うアルカリ性電解水について、役割と注意点を整理します。
 

1. 除菌の前に汚れを落とす必要がある理由

次亜塩素酸水は有機物によって分解されます。汚れが残った表面に使うと、目的の対象に届く前に汚れとの反応で消費されてしまいます。NITEも利用時の注意として、汚れ(有機物)をあらかじめ除去すること、対象物に対して十分な量を使うことを示しています。

この点は制度上も明確です。厚生労働省の資料に整理されている次亜塩素酸水の使用基準には、あらかじめ飲用適の水で食品の汚れを洗浄除去した後に使用すること、という項目が含まれています。汚れを落とすことは推奨ではなく、使い方の前提として位置づけられています。

つまり、衛生管理は洗浄と除菌の二段構えです。洗浄が不十分なまま除菌だけを繰り返しても、手間に見合う結果は得られません。
 

2. 水を電気分解すると酸性とアルカリ性に分かれる

では、洗浄はどう行うのか。ここで電気分解の仕組みが関係してきます。

厚生労働省の資料では、強酸性次亜塩素酸水について、0.2%以下の塩化ナトリウム水溶液を有隔膜電解槽内で電解し、陽極側から生成すると説明されています。隔膜で仕切られた電解槽の陽極側から酸性の水が得られるということは、反対の陰極側にはアルカリ性の水が生じているということです。

この陰極側で得られる水がアルカリ性電解水です。同じ装置で、性質の異なる2種類の水が同時に生まれます。業務用の生成機には、酸性電解水とアルカリ性電解水の両方を取り出せる構成のものがあり、生成量やpHの範囲が仕様として示されています。
 

3. アルカリ性電解水が担うのは「洗浄」の役割

アルカリ性電解水は、洗浄の役割を担うものとして使われています。一般に、油脂やたんぱく質を含む汚れはアルカリ性の条件で分解が進みやすいことが知られており、この性質を利用するという整理です。

ただし、ここは慎重にお伝えしたい点です。アルカリ性電解水の効果に関する情報は、製造・販売事業者による発信が多く、次亜塩素酸水のように公的機関の資料で条件と数値が整理されているという状況にはありません。当ブログでは、除菌や消臭の効果を断定する書き方は避け、あくまで「洗浄の役割を担う水」という位置づけでご説明します。

実務上の意味は明快です。洗浄と除菌の二段構えを、1台の装置でまかなえる可能性がある、ということです。洗剤を別途用意して管理する手間と、そのコストを見直せるかもしれません。

–酸性側(次亜塩素酸水)アルカリ性側
担う役割洗浄後の衛生管理汚れを落とす洗浄
使う順番後先
公的情報の整理食品添加物として成分規格・使用基準がある次亜塩素酸水ほどの整理はされていない
当ブログでの扱い条件を示して解説する効果を断定せず、役割として説明する

 

4. 何に向き、何に注意が必要か(素材への影響)

アルカリ性の水溶液には、素材との相性があります。使う前に確認しておきたい点を整理します。

  • アルミニウムなど一部の金属は、アルカリ性の条件で変色や腐食が起こることがある
  • 塗装面、ワックスがけされた床、皮革製品は、目立たない部分で試してから判断する
  • 手荒れを起こすことがあるため、繰り返し使う場面では手袋の着用を検討する
  • 目や口に入らないよう注意する。人体への使用を目的としたものではない
  • 電子機器には直接吹きかけず、布に含ませて拭く

また、洗浄の後は水で拭き取る、またはすすぐ工程を挟むのが基本です。残したまま次の工程に進むと、酸性の次亜塩素酸水と直接混ざることになり、どちらの性質も打ち消されてしまいます。洗って、流して、それから使う。この順番を崩さないことが大切です。
 

5. 洗浄と除菌を1台でまかなうという考え方

衛生管理を続けるうえでの障害は、多くの場合「手間」と「在庫」です。洗剤と除菌剤を別々に発注し、別々に保管し、それぞれが切れないよう管理する。この負担が積み重なると、現場では省略が起こります。

酸性とアルカリ性の両方を取り出せる生成機であれば、必要なときに必要な量を、その場で両方作れます。洗浄用と衛生管理用を別々に買い足す運用から切り替えられれば、管理する対象が減ります。使用量が多い現場ほど、この差は大きくなります。

ただし、生成機ごとに生成される水の種類、pHの範囲、生成量、必要な原料、メンテナンス方法は異なります。アルカリ性電解水を取り出せる構成かどうかも機種によります。どの場所で、何に、どの頻度で使うのかを整理したうえで、仕様が用途に合うかをご確認ください。ご相談はお問い合わせフォームから承ります。
 

よくある誤解と正しい確認方法

アルカリ性電解水をめぐるよくある誤解は、「水だけでできているから何にでも使える」「アルカリ性が強いほど良い」「これ一本で洗浄も除菌もできる」といった理解です。原料が水と塩であることと、あらゆる素材に安全であることは別の話です。pHが高くなるほど素材への影響や手荒れのリスクは上がりますし、洗浄と衛生管理はそれぞれ別の工程です。

確認の方法としては、まず使う対象の素材を確認します。金属であれば種類を、床や家具であれば塗装やコーティングの有無を見ます。次に、目立たない部分で試します。そのうえで、洗浄の後にすすぎや拭き取りを挟む手順を決めてください。装置の仕様については、生成されるアルカリ性電解水のpHの範囲が示されているかを確認します。
 

導入検討時の実務チェック

  • 洗浄が必要な対象と、衛生管理が必要な対象を分けて書き出す
  • 現在使っている洗剤の用途と使用量を把握する
  • アルカリ性電解水を取り出せる構成の機種かどうかを確認する
  • 生成されるアルカリ性電解水のpHの範囲が仕様に示されているかを確認する
  • 素材への影響を、金属・塗装面・皮革ごとに事前確認する
  • 洗浄→すすぎ/拭き取り→衛生管理、という手順を共有する
     

共通注記

本記事は、次亜塩素酸水に関する公的機関の情報、公開資料、学術情報をもとに、衛生管理・除菌用途に関する一般情報として作成しています。特定の疾病の予防・治療、医療効果、人体への安全性を保証するものではありません。使用の際は、製品表示、濃度、pH、使用方法、対象物、各公的機関の最新情報をご確認ください。
 

参考情報

〒481-0041 愛知県北名古屋市九之坪鴨田79
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